はじめに
最近のプロジェクトにおいて、Mixed Reality(MR)から Virtual Reality(VR)へのスムーズでシームレスな切り替えを実装する必要がありました。目的は、没入感を損なわずに自然な体験を提供することでした。さまざまなアプローチを調査した結果、Meta が提供している MR Motifs というリポジトリを見つけました。ここには、パススルー遷移などのさまざまなサンプルが含まれています。
MR Motifs の活用
MR Motifs のリポジトリには、MR から VR への切り替え方法を示すサンプルが含まれており、スムーズな切り替えを実装するための参考になりました。しかし、私たちのプロジェクトの要件に合わせるために、いくつかの修正を加える必要がありました。
主な変更点のひとつは、Unity における非同期処理を効率的に管理するためのライブラリである UniTask を導入したことです。これにより、切り替えシステムをイベント駆動型にでき、ユーザーの操作やゲームの状態変化に応じて自動的に MR と VR を切り替えることが可能になりました。

適切な遷移エフェクトの選択
プロジェクトでは、MR から VR への切り替えに ディゾルブエフェクト を採用しました。この方法は、滑らかで視覚的に魅力的な遷移を実現するために適していました。
プロジェクト完了後、さらにディゾルブエフェクトのバリエーションを試し、より良い効果を得る方法を模索しました。
テストしたアイデアの一部は以下のとおりです。
-
スライドドアのような遷移 – 単純なディゾルブではなく、水平方向または垂直方向にワイプすることで、ドアが開閉するような効果を試しました。これにより、遷移に方向性を持たせることができました。
-
テクスチャベースのディゾルブ – Perlin ノイズのテクスチャをスクリプトで動的に生成するのではなく、あらかじめ作成したテクスチャを用いることで、より一貫性のあるコントロールが可能かどうかを検証しました。
スライドドア
テクスチャ
エフェクト




テクスチャを使った実験
ディゾルブエフェクトの品質を向上させるために、シーンのフェードイン・フェードアウトを制御するための異なる種類のテクスチャを試しました。その一環として、コースティクス(光の屈折模様) のテクスチャを使用したテストを行いました。
しかし、期待したほどの効果は得られませんでした。主な問題は、コースティクスのテクスチャはコントラストが強く、黒から白へのグラデーションが滑らかではなかったことです。その結果、スムーズなフェードではなく、不均一で荒い遷移になってしまいました。


テクスチャテストからの学び
-
滑らかな遷移が最適 – 良いディゾルブエフェクトを得るには、明暗の間にスムーズなグラデーションを持つテクスチャが必要。
-
事前に用意したテクスチャの方がコントロールしやすい – リアルタイムでノイズを生成するのではなく、あらかじめ作成したテクスチャを使うことで、一貫性を保ち、より芸術的な演出が可能になる。
-
方向性のある遷移がスタイリッシュ – スライドドアや制御されたディゾルブなど、方向性を持たせることで、より自然で視覚的に魅力的な切り替えが可能になる。
まとめ
Meta の MR Motifs リポジトリを活用し、UniTask を統合し、さまざまなディゾルブエフェクトを試したことで、スムーズな MR から VR への遷移を実現できました。

上記ブログの内容に少しでも興味がありましたら、お気軽にご連絡ください。
弊社のエンジニアがフレンドリーに対応させていただきます。