はじめに
TeamXRのイクワンです。
AIとデジタルメディアの融合によって、クリエイターや開発者の視覚的なストーリーテリングを支える革新的なツールが普及し始めました。そのような技術進歩の1つが、高度なアルゴリズムを使用して静止画をアニメーションシーケンスやビデオに変換する動画生成AIです。
動画生成AIは、静的なビジュアル要素を動的で没入感のあるコンテンツに変換することで、AR/VR/XRアプリケーションに新しい可能性をもたらしています。この技術により、さまざまな環境へのリアルタイム適応、インタラクティブな体験のための費用対効果の高いアニメーション、ユーザー入力に基づくパーソナライズされたビデオ作成が可能となりました。
ストーリーテリングやゲームを改良することから、教育やマーケティングの革新に至るまで、開発者は拡張現実プラットフォーム上で魅力的で適応性があり、視覚的に素晴らしい体験を作り出すことができます。AR/VR/XR アプリケーションの開発においても、コンテンツをすばやくプロトタイプ化することも可能です。
このブログでは、動画生成AIのサービス内容の調査結果と注目すべきプラットフォームの紹介、これらのサービスの適用性について詳しくみていきます。
動画生成AIの魅力
動画生成AIは、入力された画像を分析し、それらを動的なビジュアルに変換するために必要な動きや遷移を予測する高度なニューラルネットワークが備わっています。ある風景に自然なアニメーションを加えたり、カメラの動きをシミュレーションしたり、まったく新しいシーンを作り出すなど、クリエイターはこのツールによって静止画に命を吹き込むかのように自然な動画を生成することができます。
動画生成AIの多用途性により、さまざまな業界で採用されています。
・エンターテインメント: 映画、ゲーム、ミュージックビデオでの視覚効果の強化
・マーケティング:静止画から魅力的な広告やSNSキャンペーン向け動画を作成
・教育: 歴史的な画像や科学図解をアニメーション化した学習コンテンツの提供
・個人プロジェクト: アニメーション化された個人向けの動画やカスタムアートを生成
主な機能は下記の通りです。
・モーションシミュレーション: 風や雲、流れるようなテクスチャなどリアルな動きを追加
・シーン拡張: 画像の境界を拡張し、より大きなアニメーションシーンにする
・画風の変換: 芸術的なスタイルや映画のようなエフェクトを動画に取り込む
・生成する動画のカスタマイズ: 開発者は速度、視点、動画の長さを調整することが可能
主な動画生成AIのサービス
ここからは画像ベースの動画作成ツールの中でも、注目すべきプラットフォームをいくつか紹介します。
Runway ML
Runway MLは、画像から動画へ変換するサービスの中でも多くのクリエイターに利用されている多機能なAIツールキットです。直感的なインターフェースと高度な機能が特徴で、画像をアニメーションに変換する事や深度エフェクトの作成、機械学習モデルを使用した動画生成を提供しています。中でもAPI連携機能は開発者にも人気のあるサービスとなっています。
- 特徴: 生成される動画のクオリティの高さ、使いやすいインターフェース、開発者やクリエイター向き
- ユースケース:マーケティング、デザイン、映像制作向けのプロ仕様ビジュアル生成
Hailuo AI
Hailuo AIは最近公開されたプラットフォームで、AIを活用して画像から高品質な動画を生成します。コスト効率とAPIの利便性を重視したHailuo AIは、機能を自社製品に活用しようとしている企業に特に適しています。プラットフォームにはさまざまな価格体系があり、小規模なプロジェクトから企業内での運用にも適しています。
- 強み: 手ごろな価格、充実したAPIサポート、他社に劣らない生成動画の品質
- ユースケース:ECサイト、キャンペーン、SNSコンテンツ作成など多用途で利用できるサービス
D-ID
D-IDは、1枚の画像をもとにパーソナライズされたリアルな話す人の動画を作成することに特化しています。AIで画像のアニメーションと音声の同期を組み合わせることができ、バーチャルアシスタント、教育、ストーリーテリングといった用途に最適です。
- 強み: リアルな顔のアニメーションや拡張をサポートするAPIに特化
- ユースケース: インタラクティブなキャラクターやパーソナライズされたビデオメッセージの作成に最適
Fliki
Flikiは、画像から動画への変換やテキストから動画へのツールを提供するAIコンテンツ作成プラットフォームです。特に、静的な素材から魅力的な動画を効率的かつ簡単に作成したいコンテンツクリエイターの間で人気があります。
- 強み: 簡単でコストパフォーマンスが高い追加のコンテンツ作成ツール
- ユースケース: SNS向けのコンテンツ、ビデオ広告、簡単なプロモーション素材
Kaiber AI
KaiberAIは、生成型アート動画に特化しており、静止画から美しいシネマティックな映像作成する機能があります。創造性と芸術的センスが重視されているため、ミュージシャンやビジュアルアーティスト、デザイナーに特に人気を集めています。また、今回調査したプラットフォームの中では、Blenderなどのデザインソフトに近いノードベースのワークフローを提供している唯一のサービスです。そのため特にデザイナーにとって魅力的なサービスであると考えられます。
- 強み: 独自の芸術的エフェクト、高度な創造性のあるアウトプット、ノードベースのワークフロー
- ユースケース: ミュージックビデオ、芸術関連のプロジェクト、コンセプチュアルアート
調査した中でのおすすめ
どのサービスも全て画像から動画を生成する点は共通していますが、RunwayとHaliou AIは特におすすめできます。この2つのサービスは初心者や技術者にとって簡単で直感的に使用できるUIとなっています。自分のアプリやサービスにこれらのサービスを連携させたい人にとっても使いやすいAPIとなっています。いずれのサービスのAPIダッシュボードも使用状況や請求に関する詳細な情報を提供しています。
プレゼンテーションや指導などの目的で動画を生成する場合には、D-IDが非常に適しています。個人アシスタントプロジェクトにも使用できます。
料金比較表
サービス名 | 料金 | 1分あたりの料金 |
Runway | 0.25$/5 秒 | 3$/分 |
Hailou | 0.43$/6 秒 | 4.3$/分 |
Fliki | ユーザーごとの契約 | - |
D-ID | 14.44$/16分 | 0.9$/分 |
Kaiber | 5$/300 credit | 13$/分 |
動画の使用例
上記のサービス「Runway」を利用して、選択した画像を使って動画を生成し、動く壁紙としてARで表示を行ってみました。現状はライブラリから画像を選択していますが、撮影した画像から動画を生成して、現実に重ねて表示することで、現実の見え方を改変するARなどもできるかもしれません。
おわりに
動画生成AIは単なるクリエイティブツールではなく、ダイナミックで没入感のあるコンテンツが重要となるAR/VR/XRアプリケーションにとって革新的な存在と言えます。静止画をアニメーションシーケンスに変換することにより、リアルな仮想環境の作成やリアルタイムコンテンツ適応、開発中のプロトタイピングプロセスの効率化など、ユーザーエンゲージメントを向上させています。
開発者はこれらのツールを使用して、魅力的なストーリーテリング体験やインタラクティブなゲーム要素、教育向けシミュレーションを作成し、ユーザーを魅了させることができます。
AR/VR/XRプラットフォームが進化し続けることにより、動画生成AIは最前線に立ち、静止画と没入体験とのギャップを埋める、より豊かで適応性のある視覚的に魅力的な体験を実現し続けます。
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