PICO Motion Tracker 動作検証

Team XRの横田です。

 

2024年9月20日(金)に新型のスタンドアロンヘッドセットである「PICO4 Ultra」が発売されました。

それと同じタイミングで「PICO Motion Tracker」という付属デバイスも同時発売されました。 

 

PICO Motion Trackerは2つセットで販売されており、それぞれを足首に装着することでボディトラッキングを行うことができます。

更にこのトラッカーはボディトラッキングのみならず、特定の物や場所に置き、その位置をトラッキングすることが可能なオブジェクトトラッキングモードも搭載しています。トラッカーはバンドに装着していない単体の状態でも使用することが可能で、取り回しがしやすい作りとなっています。


今までのデバイスでは空間に合わせたコンテンツ表示を行う場合、MR空間と現実空間の座標を合わせる為の原点の設定が必要で、特徴のある画像を用意してそれを基準に座標を合わせるマーカー認識や、カメラ情報から得たデータを解析することで座標を合わせるVPS(ビジュアル ポジショニング システム)を利用していました。

 

これらの方法はマーカーや空間を一定時間スキャンするなどのセットアップが必要で手間がかかってしまうのが難点でしたが、このトラッカーは代替になる可能性があるかもしれないと思い、実際に使用感を確認してみました。

トラッカーを実際に使う


オブジェクトトラッキングモードを試せるアプリはリリースされていないので、SDKを使って検証アプリを作成しました。

実装方法やデバイスのセットアップについてはQiitaにまとめました。

 

以下では動作などについて気になる部分を検証し、まとめています。

(トラッカーの位置にオブジェクトを表示して重ねています。)

認識速度について

トラッカーの認識速度は非常に早く、アプリ立ち上げ時から視界に入っていれば即座に認識されます。
またトラッカーの電源が入っていない状態でも、電源を入れたタイミングで即座に認識されます。

認識範囲について

公式ドキュメントにある通り半径1m以内ではトラッキングがロストすることなく継続的に認識できていました。ただ、手でトラッカーを隠すなどカメラに映らない範囲に移動した場合は位置情報のトラッキングはロストしますが、回転情報は引き続き受け取れます。一度位置情報が取れなくなった場合はトラッカーがカメラに映り、ヘッドセットから半径1m以内の場所に再度持っていくとトラッキングが再開されます。


認識精度について

ある程度の速度で動かした場合でも、ほぼずれることなく正確に追従されていました。

実際に作成したデモアプリの一連の動作についても紹介しておきます。

トラッカーを中心に一定の範囲内を閲覧してもらうコンテンツであれば、位置の初期設定などが必要なく運用できそうです。

 


補足情報

トラッカーは必ずしもバンドと繋げなければならないわけではなく、単体でも動作するため非常に取り回しがしやすくなっています。

USB Type-Cでの充電に対応しており、約25時間連続稼働が可能とのことなので運用中に充電がなくなるなどの心配もなさそうです。

まとめ


位置情報のトラッキングは高速で精度も許容範囲だと思います。回転情報については位置情報のトラッキングがロストしてもデータを受け取ることができているため別の用途に応用が可能かもしれません。

 

ただし、位置情報のトラッキングはそこまで遠い範囲までトラッキングできない事と、障害物に隠れてもトラッキングが失われるためそこには注意が必要です。またトラッカー自体は1台のPICO4Ultraにつき3台までしか認識することができず、自身とペアリングしたトラッカーのみ扱えるという制限もあります。広い空間に何個も配置して、見えているトラッカーで常に補正を行うなどの運用は難しいかもしれません。

 

有効範囲の制限はありますが、MRコンテンツの利用ケースによっては使用デバイスとして選択肢に入ってくる物だと思っています。

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